ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントの付加価値を見出す本連載。今回は、2019年のクレカ・ポイントのトレンドを総括する。(1/3から読む)ーーー
キャッシュレス決済が大きく進展
デバイスの主役はスマホになった
2019年はキャッシュレス決済が大きく進展した1年になりました。クレジットカードや電子マネーといった既存の決済手段だけではなく、10月からの政府による「キャッシュレス・ポイント還元事業」に向け、コード決済は乱立した格好です。これにより、キャッシュレス決済の主役はスマホになったといって過言ではありません。
決済・金融分野に強みを持つ株式会社インフキュリオン・グループが全国16~69歳の男女3万名を対象に、消費税引き上げ後にキャッシュレス決済の利用状況を調べたところ、10月以降に利用頻度が「かなり増えた」「まあまあ増えた」と答えた人は45%で、約半数が使うシーンが増えたとのこと。QRコード決済の利用率は3月時点の11.6%から消費税アップ後に35.7%まで増加したこともわかりました。そのうち、PayPay(63.8%)が最も多く、以下、LINE Pay(29.6%)、楽天ペイ(28.8%)、d払い(19.7%)、メルペイ(18.5%)が続いています。
ご存じの通り、日本人は現金主義者が多いのですが、キャッシュレス決済によるポイント付与、さらには各社による還元率アップのキャンペーンが功を奏したようです。楽天スーパーポイントやdポイントなど、普段からためたり使っているサービスとポイントプログラムが連動していることも、意識を変えるきっかけになったかもしれません。会計がスピーディに終わるというイメージも利用を後押ししたでしょう。
ただし、最近はコンビニなどのレジで、スマホにコードを表示させたり、カメラで店舗側のコードを撮影するのに時間がかかり、まれに行列ができているのは皮肉な話ですが……。ところが、メルペイであればコード決済だけではなく、iD決済に対応する店舗ではスマホをタッチすれば会計が済むなど、ハイブリッドのサービスもあります。コード決済であればポイントプログラム、電子マネーを中心とした非接触決済は利便性の高さから、今後も利用者は増えていくかもしれません。
では、クレジットカードはどうかというと、決して不利な状況ではありません。QUICPayやiDと紐づけることができますし、非接触対応のカードをデバイスにタッチするだけでサインも暗証番号も不要で決済できる「コンタクトレス決済」が日本でも普及しつつあります。来年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されますが、メインスポンサーのひとつはコンタクトレス決済を推進するVisaです。欧州を中心に利用者は増えていますからインバウンドの利用は目立つでしょうし、これに倣って使い始める日本人も出てくるに違いありません。
ーーーようやく、日本でも多くの人が使い始めるようになった、キャッシュレス決済。ポイント付与など付加価値が高いので、ますます浸透する可能性があるだろう。次回、2019年最後のエントリーでは、キャッシュレス決済の今後の方向性を探ってみよう。