ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今月最後は、リクルートによる高還元のビジネスカードをについて。(1/3から読む)–––
ポイント還元率1.5%の法人カード
業務の効率化支援にも期待
日本には多くの中小企業がありますが、法人カードを使っている会社は全体の3%ほどで、ほとんどの会社は事業の決済は現金など、クレジットカード以外で行っています。ところが、これは非常にもったいない話で、事業用の物資をカード引き落としにするとかなりのポイントが得られ、会計ソフトを優待価格で使えたり、弁護士紹介サービスや健康相談など、法人にとって便利なサービスを付帯した法人や個人事業者向けのビジネスカードは、カード各社から発行されています。
法人からしても、昨年10月の「改正電子帳簿保存法」の施行により、クレジットカードなどのキャッシュレス決済した際のデジタル利用明細が、領収書代わりに会計処理に使えるようになりました。これにより、法人のカード需要は高まる可能性があります。
そうしたなか、今年1月から「Airカード」という新しいビジネスカードを発行したのが、リクルートです。申込対象は法人または個人事業主で、法人なら引落口座が法人口座、個人事業主は屋号付きの口座か個人名義口座になります。
最大の特徴は、基本のポイント還元率が1.5%と、他のビジネスカードの0.5~1%に比べて高水準だということです。税金や公共料金、通話料などは0.5%になりますが、備品の購入や仕入れ、出張・移動、会食・交際などに合わせて使うと、かなりのポイント付与につながるでしょう。
付与されるのはリクルートポイントで、リクルート系のサービスで利用したり、Pontaポイントに移行すれば、Ponta加盟店で利用することも。今年春以降は、dポイントにも交換できるようになる予定です。
リクルートといえば、「Airレジ」や「Airペイ」といった、店舗など主に小規模事業者向けに業務を支援する「Airビジネスツールズ」というサービスを提供しています。うちの近所で新しくできた個人店の多くが、これらを利用していて、その浸透ぶりには驚かされます。そう考えると、リクルートにはすでに多くの法人顧客がいますから、Airカードのプロモーションは行いやすいはずです。ユーザーにも親近感を持ってもらいたく、「Air」の名を冠したカードにしたのだと思います。これは、他社にはない優位性です。しいて言うなら、同じく小規模事業者の決済サービスに強いPayPay陣営が、将来的に同様のビジネスを強化するかもしれません。4月5日にはジャパンネット銀行がPayPay銀行へと社名が変更となり、法人向けのPayPayカードやPayPayデビットカードなども発行される可能性があります。PayPayやLINE Payなどの動きにも注目です。