杉山 ペルーでは現地法人を設立し、ローカルのクラウドファンディングの運営会社や債権回収会社と提携し、日本に商品を供給するという流れです。コロンビアはパートナーがまだ見つからず進出の目処は立っていませんが、メキシコなど他の南米諸国に対しても綿密なリサーチを行ったうえで、入っていきたいと考えています。一方で、当面はフィンランド、イタリア、スペインといった欧州の国がクロスボーダーの取引がしやすく、今年はそういった国を中心に、商品を展開する方針です。
そのために、エストニアにも現地法人を置きました。例えば、スペイン、フィンランド、エストニアに居住する個人向けの貸し付けを束ねたポートフォリオを投資対象として組成、特定の国や個人に貸付額が集中しないよう、一定のリスク分散を利かせた「欧州3カ国消費者ローン・ファンド2号」(現在は募集終了)は、そのひとつ。これらの地域では複数の金融機関から小口の消費者ローンを高金利で借りている個人が多くいますが、当ファンドを通じて、低い借入コストでまとまった金額の貸し付けを行うことで、長期安定的な家計形成がサポートでき、出資者にはリターンが見込めます。同商品の場合、投資期待利回りは13.7%です。
内藤 この商品はユーロ建てですか。
杉山 その通りです。よって、為替リスクが生じることは、出資いただく時に当然ながらご了承いただいています。ただし、今後は通貨スワップ取引を行うことにより為替ヘッジを行い、お客様が円建てで投資できるファンドもリリースする予定です。
内藤 それはいいですね。投資家は為替リスクから解放され、純粋に倒産リスクだけ考えて出資できますから。すでに、新たな展開もあるようですね。
ーーー投資対象を厳選し、商品を提供するというのが、クラウドクレジットのポリシー。また、不良債権や消費者ローンなど、これまで一般の投資家がアクセスできなかった商品に出資できるというのも、クラウドファンディングならではといえるだろう。
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内藤 忍(ないとう しのぶ)
株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
一般社団法人海外資産運用教育協会代表理事
東京大学経済学部、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)
大学卒業後、住友信託銀行に入社。
1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。
その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。
2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。
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早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学などで講師を務め、雑誌、ネットでの連載コラムを担当。主な著書にシリーズ10万部を超えるベストセラーとなった「内藤忍の資産設計塾」シリーズ。「60歳までに1億円つくる術」「「好き」を極める仕事術」「丸の内朝大学マネーの教科書」など多数。最新刊は「初めての人のための資産運用ガイド」(ディスカヴァー携書)。
杉山智行(すぎやま・ともゆき)
クラウドクレジット株式会社 代表取締役
2005年東京大学法学部卒業後大和証券SMBCに入社し、金利、為替の自己勘定取引チームで日本国債への投資業務等に携わる。2008年ロイズTSB銀行東京支店に入行し、銀行では資金部長を務めて支店経営陣に対してリテール預金の獲得など日本での事業機会について助言するなどし、同時に運用子会社の日本における代表および運用責任者を兼任し、当該子会社の財務計画および人事/経理/税務の管理も行う。2013年1月にクラウドクレジット株式会社を設立し、2014年6月から投資型クラウドファンディング・サービス「Crowdcredit」の運営を通じて、日本の個人投資家と世界の資金需要者がWin/Winの関係を作るサポートを行う。