資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルと投資談議に花を咲かせる、この企画。10月は株式会社 地球と不動産の重盛竜也代表取締役をお招きして、ベトナム不動産投資をテーマに対談。2回目は、外国人のベトナム不動産投資を活性化させる、ある法改正について。(vol.1から読む)
住宅法の改正により
外国人の不動産投資が解禁!
内藤 ベトナム政府による規制緩和が、外国人の不動産投資を加速させるということですが、具体的にはどういうことでしょう?
重盛 今年に入り、ベトナムは外資に対する経済開放を一気に進めています。9月には、銀行などを除く上場会社の外資出資比率の上限を完全撤廃、100%外資系企業の進出が可能になりました。また、遡ること7月には改正企業法が施行されていて、これにより会社設立の手間が簡素化され、短期間で起業することができるようになりました。その結果、スタートから50日間で国内・外資含めて1.3万社が新規に設立され、これは前年比163%という割合。8月単月だと前年比184%を記録。ベトナムはいま、起業ラッシュを迎えています。
内藤 ベトナムに進出する日系企業は多く、味の素やブラザー工業、富士通、さらには電通、総合商社など、約1500社。規制緩和で、さらに増加するかもしれません。
重盛 2年前にはスターバックス、昨年はマクドナルドにイオンモールというように、外資系の波はすでに押し寄せています。セブン‐イレブンは2017年に1号店を出店予定で、その後10年で1000店舗を展開すると表明しました。メーカーなどの進出に伴い、サービス・外食産業の攻勢も予想されます。ベトナム最大の商業都市、ホーチミンには日本人街がありますが、いまのところ大手チェーン店はほとんどありません。そういった光景もここ数年で様変わりするでしょうね。
内藤 仮に日系企業の進出が加速すると、駐在員も増えますから、物件の賃貸需要も高まると考えられます。
重盛 おっしゃる通りです。そして、外国人の不動産投資のカギを握るのが、改正企業法と同じく7月に施行された、改正住宅法です。これにより、ベトナム国内で外国人の不動産所有が認められるようになりました。
内藤 以前は、ベトナムで不動産を買うには国内に居住し、1年以上就労するなど、厳格な規制があったと聞いています。
重盛 それだけではなく、買える物件はコンドミニアム1戸で土地付き戸建ては不可能。所有権は50年間の使用権にとどまり、賃貸は禁止、つまり自己使用しか認められていませんでした。
内藤 外国人がベトナムで不動産投資をすることは実質的に不可能だったのですね。
重盛 その通りです。ところが7月の法改正後は、ベトナムに入国可能な外国人すべてを対象に、1回でもパスポートを持って入国すれば、不動産を買う資格が得られるようになりました。これは劇的な規制緩和といえます。さらに、1棟の共同住宅のうち総住戸の30%までが購入でき、所有権も50年ではあるものの更新が可能で、計100年間が認められるように。