資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回寄せられた質問は「不動産投資にデメリットはないのか?」という内容。内藤氏の回答を見ていきましょう。ーーー
不動産投資にデメリットはないのか?
Q(質問者):内藤さん自身のポートフォリオは金融資産より不動産の比率が高いと聞きましたが、不動産投資でデメリットを感じたことはありませんか。
A(内藤氏):ここ数年で私個人のポートフォリオは、投資信託などの金融資産から不動産のような実物資産に大きくシフトしました。インデックスファンドの積立は今も続けていますが、現状の資産配分比率で言えば、不動産が半分以上を占めています。
保有している不動産は国内だけではなく、アメリカをはじめとする先進国や、マレーシア、カンボジア、フィリピンなどの新興国まで8か国に分散しています。
不動産の投資対象としての最大のデメリットは流動性が低いことです。特に流通市場の規模が小さいものになると、買い手の数が少なく、通常でも売買を成立させるのは簡単ではありません。マーケットが下落して低迷しているような時期になるとさらに買い手の数は少なくなり、流動性は低下します。要は「売りたい」と思っていても、買い手がつかないことには売買は成立せず、不要な土地や建物を持ち続け、そこにコストが発生するというリスクが生じるわけです。
自分が思うようなタイミングで資金化することが難しい資産ですから、短期で収益を狙おうという人には向かない投資対象といえます。
しかし、インカムゲインを取りながら、長期的に売却益も狙えれば良いと考える投資家にとっては、時間をかけて収益を積み上げることができる魅力的な資産だと思います。ただし、空室リスクや価格下落リスクは当然存在しますから、注意は必要でしょう。
そして、長期で不動産投資を考える場合は、管理が重要になります。金融資産とは異なり管理に手間とコストがかかるのが不動産のもう1つのデメリットです。