ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今月は春以降に話題になっている、クレジットカードの新サービスを中心に情報をお届けする。−−−
エンリッチ読者の皆さま、ポイ探の菊地です。前回は、アメリカン・エキスプレスとマリオット・インターナショナルが提携した提携クレジットカード、「Marriott Bonvoy(マリオット ボンヴォイ)アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード」と「Marriott Bonvoyアメリカン・エキスプレス・カード」を取り上げました。これらはトラベラーを中心に人気のあった「スターウッド プリファード ゲスト アメリカン・エキスプレス・カード(SPGアメックス)」の後継カードですが、「Marriott Bonvoyゴールドエリート」の付帯など、旅行・出張が多い人にとって付加価値の高いサービスが多数用意されています。一部の国では新型コロナの収束を見据え、ビジネス・プライベートの渡航を認め始めているので、こういったカードが活躍する場は、今後増えていくのかもしれません。
付帯保険が選べるカードが登場
カードグレードにより補償額は変動
今回は、三井住友カードが国内初で始めた、ユニークなサービスを取り上げます。それが「選べる無料保険」です。
通常、クレジットカードの付帯保険は海外・国内旅行傷害保険をはじめ、ショッピング保険などが一般的。プレミアム系クレジットカードの場合、個人賠償責任保険が付帯するケースもあります。ところが、コロナ禍以降は旅行に行く機会が減り旅行傷害保険へのニーズは低下したり、そもそも複数のクレジットカードを持っていると付帯保険が重複し、無駄だと思う人もいたことだと思います。
「選べる無料保険」は、こういった課題を解消するサービスで、これまで三井住友カードに付帯していた旅行傷害保険を、会員のライフスタイルに合わせて別の保険プランに切り替えられるというものです。対象となるのは同社が発行するプロパーカード(一部除く)で、提携カードや法人カードは含まれていません。
用意されているのは、以下の4プランで、すべてに「お買い物保険」は付帯します。また、保有するカードグレードによって補償額は変わり、上級カードになるほど手厚くなっています。
■日常生活安心プラン(個人賠償責任保険)
日常生活のケガ、賠償に備えた保険サービスです。自転車を走行中に歩行者に衝突してケガをさせた、子どもがお店で商品を誤って壊したなど、法律上の損害賠償責任を負った場合に、その損害を補償します。プラチナカードであれば、個人賠償責任危険補償は最高1億円です。これだけあると、自転車保険として利用することも検討できます。
■ケガ安心プラン(入院保険(交通事故限定))
交通事故によるケガを補償する保険サービスです。自動車に衝突され骨折して入院した、自動車と接触して入院し手術をしたなど、交通事故によるケガで入院した場合や手術をした際に補償を受けることができます。ただし「交通事故限定」なので、階段から落ちてケガをして入院・手術をしたとしても補償を受けることはできません。プラチナカードの場合、障害入院補償(交通事故限定、支払限度日数60日、免責0日)は1日あたり7000円、障害入院一時金補償(交通事故限定、免責0日)は10万円です。
■持ち物安心プラン(携行品損害保険)
身の回りの持ち物が盗難・破損・火災などの被害に遭った場合に補償する保険サービスです。旅行先でカバンを盗まれた、カメラを誤って落として壊してしまった場合など、偶然な損害が起きた際に補償を受けることができます。プラチナカードであれば携行品損害補償(免責3000円)は最大25万円、受託物損害責任補償(免責5000円)は最大10万円です。自分自身の持ち物だけではなく、レンタル用品も対象になるのはポイント。私は同社のカードを持っているので、この保険サービスに切り替えました。
■旅行安心プラン(海外・国内旅行傷害保険)
旅行に関する事故・トラブルを補償する保険サービスです。基本的には同保険が付帯していて、別のプランに切り替えると適用外になります。プラチナカードであれば、海外旅行傷害保険は最高1億円となっています。なお、三井住友カードは4月16日より旅行傷害保険の適用条件を変えていて、これまでは自動付帯だったのが利用付帯になったカードが多数あります。これには注意してください。
保険の切り替えは会員サービス「Vpass」から行い、毎月20日までに選んだプランが、翌月1日午前0時から適用開始となります。選んだプランの補償期間は補償開始から1年間です。この間は他のプランに変更できないので、しっかり検討したうえで選ばないといけません。なお、別プランへの変更手続きは補償期間満了の3か月前から案内が始まりますが、前月20日までに変更手続きをしないと、同じプランが1年間継続されます。
複数のプランから保険を選ぶことができるのは画期的なサービスで、同社カードのホルダーなら、検討の余地があるでしょう。
−−−「選べる無料保険」は、会員のライフスタイルに合った保険サービスを選ぶことができるという点で、非常にユニークと言えるだろう。次回は、公共料金やサブスクサービスの利用者にとってお得なサービスについて取り上げよう。